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犬・猫が急に痩せる原因とは?まずは正しく知ることが重要!
当院ではよくあることなのですが、
1)食欲がなくなったから
2)食事内容が十分ではないから
3)消化吸収能力が変化したから
4)エネルギー消費が激しすぎるから(病気含む)
5)運動量が少ない
6)季節変化による体重減少
7)発情期(ヒート)による影響
8)シニア犬の筋肉量低下
「など」の原因が考えられます。
犬・猫の体重減少、危険なサインを見逃していませんか?
【質問の質は人生の質】と申しますが、このような多種多様な原因が考えられる状況で「何を食べさせたら太りますか?」ということ「だけ」が気になるのは、ちょっとヤバイ…とお気づきになるはずです。
でも、普通、飼い主さんは「犬猫が痩せる原因」がこんなにあるとはご存じないので、仕方ありません。
そして、知ったら対応(判断基準・解釈・思考・決断・行動)を変えればいいだけの話です(^▽^)V
「何を食べさせたら太る?」ではなく、まず痩せた原因を探る!
須崎動物病院は西洋医学や標準治療で余命宣告された子が7−8割を占める特殊な動物病院のため、こじれまくった子達が連れて来られることが多いです。
こじれた大きな理由の一つに「様子をみた結果、初動が遅れた」があるのですが、今回の「急に痩せた」というテーマの場合、よくあるのが「全ての病気は食事で治せる」という不適切な判断基準の下(コレが適切な場合もある)、情報収集が
- 「食べ物で何とかしたい」
- 「食べ物で何とかしよう」
- 「なんの食べ物で問題解決できるか?」
- 「魔法の食材は?」
みたいになってしまい、本質的な問題解決ができず、結果的に「放置」したことになってこじれてしまい、身体がドンドン弱り、自然治癒力を発揮して自力復活出来たはずの時期を逃してしまい、誰かが何かをしないとサポートできない状態…という経緯になる子もいます。
食事で解決できる?それとも別の問題?正しい判断基準とは
「財布にお金がなくなったら借りればいい」みたいな話で、そうかもしれませんが、そうじゃないかもしれません。
個人的には「なぜ痩せたのか?」の原因を探って、
- 対処が必要なら対処する
- 時間が解決しそうなら様子をみる
をまず決め、
必要な対処も
- 食欲がなくなった原因を探って解決する
- 食事量を変えてみる
- 食事内容を変えてみる
- 消化吸収能力が低下した原因を探ってみる
- 「エネルギー消費が激しい理由」を調べてもらう
- 運動量を変更してみる
などを、獣医師に相談することをおすすめします。
須崎動物病院には、以前お世話になった動物病院と折り合いが悪くなってお越しになる方が多く、「須崎動物病院は遠いし、すぐ予約がとれるわけではないから、心配になったらすぐ近くの獣医師に相談してください」と申し伝えると、「えーっ」という雰囲気になることが少なくありません。
べつにこれは放棄しているわけではなくて、同じ原因でも症状が個々で違ったり、症状は同じなのに原因が個々で違ったり、状態も変化するので、やはり症状だけで何か対処を選択するのはそもそも無理だからです。
動物病院に相談すべきタイミングと、信頼できる獣医師の選び方
獣医師も、科学の大前提に「条件が変われば結果が変わる」があるから、全てがパターン医療で解決できる訳ではないことはご存じのハズなのですが、「言い方が気に入らない」とかがあるみたいで…
でも、超能力診療をするよりは、直接チェックしてもらって、必要な対処は受けた方がいいので(原因がわかっても、適切な対処ができなければ意味がない)、
- パターン思考ではなく
- 頭ごなしに決め付けてきたり
- 頭ごなしに否定してきたり
- 強い言葉で誘導したり
- 依存させたり
しないで
- 信頼ができて
- 言うことが納得できて
- 受け入れられて
- あなたの努力も評価してくれる
獣医師と対話するのが一番寄り道が少なく、効果的だと思います。
「加水分解フードで体重が戻った!」でも安心してはいけない理由
以前、こんな飼い主さんがいらっしゃいました。
須崎動物病院の提案がいろいろすぎてご納得いただけなかったのでしょう、ご自身でネットで調べて、「加水分解済フードで肉付きがよくなった♪」という記事を見つけ、試しに食べさせてみると…
確かに肉付きが良くなる!
「何だ須崎!こんな簡単なことも知らないのか?わざわざ難しいことをさせようとしやがって!」
と思われたそうです(笑)。
ちなみに、加水分解済フードは吸収率が高いために、肉付きがよくなる「ことがあります」。
この飼い主さんをはじめ、大抵の方は、「肉付きがよくなればそれでよい」と思われるようですが、
須崎は「今までの診療経験」と、「安易で一時的な解決をしたばかりに、問題をこじらせてしまい、頭を抱えて後悔する飼い主さんたち」を沢山みすぎたので、「なぜ『急に』痩せたのか?」が重要で、そこを解決しなければ、一時的に「改善」した様に見えても、原因がそのままならば、じきにその「解決方法」が有効でなくなるときが来る…可能性があると思うのです。
でも、体重が増えればいいとだけ考えている飼い主さんにとっては、僕のアドバイスなんか「大きなお世話」なんですよね…
「何を食べさせたら太る?」ではなく、まず痩せた原因を探る!
この話、後日弾がありまして、「3週間ほど経って」「加水分解済フードでも体重が減っていく…」という事態になり、その後立てなくなって、「自力で戻すのが大変な状況」になったのだそうです…
その飼い主さんはそこで自己主張を取り下げ、「言いなりになります(そこまで思い詰めなくてもいい)」とおっしゃったので、身体を調べたら、この子は消化器系以外の所に大きな解決すべき課題があると疑われ、それをケアしたところ、普通の食事で体重が自然と元に戻っていきました。
あくまでも結果論ですが、この子の場合は
4)病気でエネルギー消費が激しすぎたから
だったのだろうと考えました。
※詳細を書くと、その情報が一人歩きし、それが飼い主さんの初動を遅らせる結果になるので、書くのは控えます。
原因はひとつではないかもしれないので、「急に痩せたらこのツボ!この漢方!」みたいなパターン思考をするのではなく、方法は何でもいいので、根本原因を探ろうとしてくださる獣医師に「も」相談してください。
仮にあなたに特殊脳力があって、仮に見立てられたとしても、必ず「確認(これで合っているか?見落としはないか?)」はしてくださいね。
犬・猫が健康的に体重を維持するための習慣とは?
身体は、ひとつの受精卵が卵割して身体が作られます。だから、全てがつながっているなんていうことは、わざわざ東洋医学の五行論を持ち出してこなくても、なにも不思議なことではないんですよね。
当然、臓器ごとに切り離せるわけでもなく、何かを取り除けば、表面には見えない何かのシステムが失われている可能性は大いにあると思うのです。
だから、今回のような場合も、極端な話、状況によっては、
- 歯周病対策をしたら
- 体内の炎症反応が落ち着いて
- エネルギー消費が正常化
- また筋肉が付き出しました!
ということだって、過去実際にありました。
「急に痩せた!」と焦らないために、日頃からできる予防策
こんなことから、「痩せたら食べたらいいってワケじゃ必ずしもないんですよ…」とお伝えしたいわけです。
努力をしているのに、思う結果が得られなかったら、
「見立てが間違っていたのかもしれない」
と考えて軌道修正することは非常に重要です。
もちろん、見立ては合っていて、正常化する途中経過かもしれません。
でもそれは「症状」ではわからないので、「あなたが望む確認が出来る動物病院で確認してもらった方がいいですよ?というお話でした。
」
「時の時に時のことをする」
大切なことです。
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