リモートコントロール
最近、話題のドローン!
あの飛行体は、自分で動いているわけではなく、誰かが遠隔操作しています。
それと同じ様に、原因療法的視点で、動物の身体を探っていると、症状が出ている部位に根本原因があるかと思いきや、全く違うところに根本原因があって、そこから「症状を出させられている?」と感じられることがあります。
症状が出ているところ(=ドローン)←根本原因(操縦者)
というケースです。
このとき、症状をいくら消しても「しばらくすると再発する」ということが起こります。
「薬で治ったのに、薬を止めたら再発した…」
「せっかく手術をしたのに、また再発した…」
そんなときは、症状が出ているところ以外に何か根本原因があるのかもしれません。
体質・遺伝で思考停止になっていないですか?
同じ症状が続く場合、「身体が弱い」「体質」「遺伝」で片付けられることがあります。
【症状は不快だが必要かつ正常な反応】
という原理原則から、症状が出るとき、それは
【身体が弱いわけではない】
【身体が全力で闘っている】
【ただ、処理が追いついていないだけ】
ということがわかります。
下痢を繰り返す場合、【腸が弱い】のではなく、
【腸を洗い流さないといけない様なものがある】
という視点もあります(他にもあります)。
質問を間違えると迷宮にハマる…
下痢を繰り返す犬猫の飼い主さんは、
「何を食べたら下痢は止まりますか?」
という質問をしてこられることがほとんどです。
しかし、質問の質は人生の質!
質問を間違えると、迷宮にはまります。
繰り返す下痢の原因は三つ!
原因療法的に調べると、
1)腸に原因がある(食べものが不適切など)
2)腸のすぐそばに原因がある(他の臓器から腸に影響など)
3)腸から離れたところに原因がある(ストレス性の下痢など)
この三つのケースがあるように感じております。
そして、大抵の場合は、1)は飼い主さんの試行錯誤でクリアしています。
もちろん、慢性的な腸炎や、腫瘍などの特殊な場合を除きますが…
当院でよくあるのが、2)と3)です。
ここでは、個別具体的な原因部位や、原因となる異物に言及はしません。
なぜなら、根本原因を探ればわかりますが、原因部位も、原因物質も、個々で異なるからです。
ここで、原因部位や原因物質の具体例を出すと、あなたに変な先入観ができ、あなたの愛犬・愛猫には全く関係ないかもしれないことに、時間と労力とお金を遣わせることになるかもしれないので、それはしないことにしています。
以前、よかれと思って、そんな話をした結果、ある飼い主さんが「その例え」に強く影響を受け、愛犬の根本原因とは全く関係ないことに注力された結果、本当の根本原因が悪化し、私の不用意なアドバイスが原因で、なおるはずだった時期を逸してしまったという苦い経験があります。
ですから、根本原因とその場所は、お近くの原因療法に取り組む動物病院で探っていただきたいのです。
ただ…
原因を探ったのに、改善しない場合…
「根本原因を探ってもらったはずなのに、改善しない…」
という飼い主さんからの診療を最近受けるようになりました。
そこで調べてみると、
大きな異常があるところ(症状あるところ)は探れているのですが、
根本原因があるが、静かなところを探れていないケースで、
そういう事が起こっているようです。
たとえば、乳腺腫瘍を切除したのに、二週間後に別の乳腺が腫れた…
という場合は、転移というより、別の部位から乳腺に症状を出している場合があります。
もちろん、その部位は、個々で違うので、そこは調べてもらってください。
誤解を恐れずに申し上げるなら、
【根本原因の探り方が浅い】
ということになります。
でも、大きなノイズ(最初のしこり)がなくなったのですから、探りやすいと思いますので、そこからまた仕切り直しで辿ってもらってくださいね。
いずれにしても、
【最初のしこりそのものに根本原因があったわけではなかった】
ということになります。
繰り返す下痢にしても、乳腺腫瘍にしても、ついつい、「腸が弱い」「免疫力が弱い」と早合点してしまいがちですが、実は、
【想定した部位や相手とは違う根本原因が他にある】
ことがあるという視点はもっていてくださいね。
というお話しでした。
手詰まりになった方のお役に立てれば幸いです。