犬の脾臓腫瘍(血管肉腫)で脾臓摘出後の転移を防ぎたい→どう考える?

血管肉腫

犬の脾臓腫瘍(血管肉腫)で脾臓摘出後の転移を防ぎたい→どう考える?


脾臓の腫れで手術を勧められたら、冷静に考えるポイント

よく、「かかりつけの動物病院で、脾臓が腫れた(脾臓の腫瘍、血管肉腫)と言われ、『このまま放置すると破裂するから取った方がよい。脾臓はなくても生きていけるから!』と言われたのですが、本当に取った方が良いのでしょうか?」というご相談を受けます。

状況によりますが、切除するにしても様子を見るにしても、やらなければいけないことがあります。

不必要な臓器はない!脾臓切除を考える前に知るべき事実

切除するにしても、しないにしても、「どう考えたらいいのか?」に関しては、須崎動物病院には【明確な判断基準】があります。

それは、

身体には不必要な臓器は存在しない

という【基本原則】です。

脾臓の主な働き

脾臓の「主な」働きには以下のようなものがあります。

  • 血液を貯える
  • 老化した赤血球を破壊・除去する
  • 血小板の貯蔵庫
  • 造血機能
  • 体内で最大のリンパ器官

このように、いろいろな働きをしていますが、免疫器官としても非常に重要な働きを担っているのがポイントです。

ですから、役立たずで「あっても無くてもいいような、無意味な臓器」などではなく、非常に重要な臓器なのです。

脾臓が腫れる理由、破裂する理由

では、なぜ「腫れた」のか…???

それは脾臓で【免疫応答】がおこっているからかもしれません。

では、なぜ免疫応答がおこっているのか…???

それは何か【排除すべき異物】がそこにあるからかもしれません。

では、なぜ破裂するかもしれないのか?

それは異物と闘っているから、

  • 異物がドンドン補充されたり
  • 異物がドンドン体内で増える状況

で異物量が減らなければ、【破裂するほどの強い炎症反応】に発展する可能性があり、実際破裂した他の子達はそうなった可能性があるわけです。

これらのことが理解できると、

今、腫れているし、破裂して大量出血するといけないから、あってもなくてもいいような臓器だから取っちゃえ!

という発想が

「それで大丈夫なの?」

腫れた理由を放置して他の問題が生じないか不安じゃないの?

と想像ができるようになるわけです。

でも、担当獣医師はいろいろ検討した上で(家庭事情等も)、それがベストだと判断されたわけですから、それはそれで一つの見解なんだと思います。

でも、飼い主さんは不安だった…

脾臓切除後の再発防止策!原因を減らすためのケアプラン

私は専門家じゃないから解らないけど、

元々身体に備わっている脾臓を

●今、腫れているから、

●将来、破裂するといけないから

という理由だけで、

安易に取り除いて幕引きにしていいものなのか?

と疑問に思われたのだそうです。

で、ネットで検索したら須崎動物病院を見つけ

価値感が近いから相談しにお越しになった…

という流れでした。

大事なことは膝を突き合わせて語り合う

そして、膝を突き合わせてメリットデメリット、できることできないことなどをじっくりと話し合わせていただいて

最終的には「切除しましょう」ということになりました。

理由は…仕事や家庭事情で、十分なケアが難しそうだったからです。

そのかわり、切除後に再発防止の為に

●身体から原因を減らす

●生活環境からも原因を減らす

に「結果が出るように」取り組んでいただくことで合意しました。

もちろん、生物に100%も0%もないので、「正確にどうなるか?」を予測出来る人ははだれもいません。

当初の状況で「予想された未来の選択肢」は

1)破裂する

2)腫れたまま固まる

3)腫れが小さくなり、自然と落ち着く

などでした。

1)は切除するしかありません。

2)は不安ですよね…

3)なら一番理想ですっ♪

そんなわけで、

脾臓には大切な役割はあるんだろうけど

切除しても即死するほどではないから

今回は切除しよう!

という結論になったとき、切除してひとまずホッとしてから、立て続けに「腫れた原因」を減らすことに着手していただくという結論でもいいかなと考えました。

万能の正解はなく、事情でも変わる

こういうものは「唯一無二の正解」はありませんし、やりながら判断、微調整していくものだと思います。

予想通りになることもあれば、ならないこともあるのが、生物の特性だと思います。

余命宣告された子が全体の7−8割という特殊な事情の須崎動物病院では「飼い主さんの後悔が一番少ない選択が最適な選択」だと感じております。

切除して終わりじゃない!再発防止に必要なケア

当院では、

  • 一番理想なのは取らないで原因を排除して腫れが引くこと
  • 二番目は切除するのは仕方ないとして再発を防ぐために根本原因を減らす
  • 一番ヤバイのが、切除しただけで安心している状態

と考えております。

脾臓も、脾臓に限らずそれ以外の臓器も、取り除いて大丈夫な臓器など、一つもないのです。

また、摘出しなければならない状態になったとしても、取り除きさえすれば治癒するなどという考えも、脾臓を軽視しすぎだと思います。

須崎動物病院には

  • 全身麻酔に不安がある
  • 身体にメスを入れたくない
  • 手術させたくない
  • 身体に不必要な臓器は無いはずだ!
  • 結果は受け入れるから、飼い主の意向を尊重してほしい!
  • 獣医師の正論を頭ごなしに押し付けないでほしい!

という飼い主さんがお越しになります。

でも、念のために「一般的な対処法とその理由」をおはなしさせていただいております。

それでも一般的な治療は選択したくないという飼い主さんに、さらに念のためにもう一度「適切な医療を受ける権利を動物から奪うことになって後悔したりしませんか?」とお伺いし、「それでも!」とおっしゃる場合は、「途中で止めてもいいですからね」と念を押して、「標準治療ではない選択肢」をご案内しております。

以上のことから、須崎動物病院では

1)摘出する前に原因を極力減らしておく

2)摘出してしまっていたら、同時進行で原因を探って減らす

3)摘出後は原因など考えずに化学療法で対処する

4)再発・転移したら、その時はその時で考える!

5)何もしない!抗わない!結果は甘んじて受けいれる!

などを予め考えておいて、最悪の事態になった場合に後悔が少ない選択をなさってください、とお伝えしております。

具体的にどうするかは、条件が変わればやることも変わるので、「原因療法に取り組む獣医師」に直接相談してみてください。

それまでの間にやっておいた方が良いことは、これまでの経験上、「環境除菌の徹底」だと思います。

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こちらは準備中です、もうしばらくお待ちくださいっ♪

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