目次
フィトンチッドで免疫力は高まるのか?
消えミスト(フィトンチッドスプレー)ユーザーからのご質問
フィトンチッドは免疫力を高めるという話を聞いたのですが、それはどういうことですか?
「免疫力を高める」というと主語が大きくなりますが、がん細胞やウイルス感染細胞を殺すナチュラルキラー細胞を活性化させるという論文があるので、ご紹介いたします。
樹木由来フィトンチッドがヒトナチュラルキラー細胞機能に及ぼす影響
要約
筆者らは以前、森林環境がヒトのナチュラルキラー(NK)細胞の活性、NK細胞数、ならびにリンパ球内の抗がん関連タンパク質を高め、森林への旅行後、そのNK活性の上昇が男女ともに7日以上持続することを報告した。
森林環境のうち、どの要因がヒトのNK細胞を活性化するのかを探るため、本研究では、樹木の精油がヒトの免疫機能に与える影響を検討した。
対象は健康な男性12名(37〜60歳)で、午後7時から翌朝8時までの夜間、都市部のホテルに3泊滞在した。
滞在中は、ホテルの客室で加湿器を用いてヒノキ(Chamaecyparis obtusa)の木部精油を気化させ、芳香性の揮発性物質(フィトンチッド)に曝露させた。
最終日に採血を行い、また滞在中は毎日採尿して解析した。
血液では、NK活性、NK細胞とT細胞の割合、グラニュリシン、パーフォリン、グランザイムA/Bを発現するリンパ球の割合を測定し、尿ではアドレナリンとノルアドレナリン濃度を測定した。
フィトンチッド曝露により、NK活性、NK細胞の割合、パーフォリン、グラニュリシン、グランザイムA/B発現細胞の割合は有意に増加し、T細胞の割合および尿中アドレナリン・ノルアドレナリン濃度は有意に低下した(ストレス低下の指標)。
客室内空気からは、α-ピネンやβ-ピネンなどのフィトンチッドが検出された。
これらの所見は、フィトンチッドへの曝露とストレスホルモンの低下が、NK活性の上昇に部分的に寄与している可能性を示している。
という研究結果です。
フィトンチッドはNK活性を高める
活性化したNK細胞が増え、がん細胞を殺す反応が増加しましたが、NK細胞の絶対数は変わりませんでした。
このことから、フィトンチッドを浴びることでNK細胞の数は増えないけれどアクティブな状態に変化することがわかりました。
フィトンチッドで細胞傷害分子発現の増加(殺傷能力が高まる)
NK細胞は、攻撃する細胞に穴を開けるなどして処理する性質がありますが、フィトンチッドを浴びることで、この細胞障害分子(グラニュリシン、パーフォリン、グランザイムA/B)の発現量が増える(=殺傷能力が高まる)ことが確認されました。
フィトンチッドでストレス緩和効果
尿中アドレナリンおよびノルアドレナリン濃度は、看護師【1】やトラック運転手【2】の仕事関連ストレス、さらには心理社会的ストレス【3】の評価に用いられてきました。本研究では、フィトンチッド曝露により尿中アドレナリンとノルアドレナリン濃度が有意に低下することがわかり、ホテル滞在中に被験者のストレス状態が軽減されていた可能性を示しました。
ストレスが減ると血液中のT細胞も減る
また、フィトンチッド曝露はT細胞を有意に減少させました。
筆者らは以前、森林環境が男女いずれにおいてもT細胞を有意に減少させることを報告しています【4-6】。
一方で、精神的ストレスは血液中のT細胞を増加させると報告されています【7-8】。
さらに筆者らは、不健康な生活習慣を持つ人では、健康的な生活習慣を持つ人に比べてT細胞割合が高いことも見いだしています【8】。
このため、血液中のT細胞割合はストレス状態を反映している可能性があると推測しています【6】。
フィトンチッドがあると無しでNK活性は変わる
以前の研究では、フィトンチッド曝露なしに都市部のホテルに2泊しただけでは、NK活性、NK細胞数、パーフォリン・GRN・GrA/B発現リンパ球の割合、尿中アドレナリンおよびノルアドレナリンに変化は生じませんでした【5】。
このことは、今回観察されたNK活性の上昇が、単なるホテル滞在によるものではなく、フィトンチッド曝露に起因することを示していると思われます。
まとめ
以上から、フィトンチッドを浴びることで
●ナチュラルキラー細胞が活性化する(数は増えない)
●ストレスが減ることで、尿中アドレナリンおよびノルアドレナリン濃度が減る
●ストレスが減ることで血液中のT細胞が減る
ということがわかりました。
24時間噴霧することは難しいにしても、ときどき部屋にスプレーして、心身共にリフレッシュするのに活用したいですね。
須崎動物病院の【 消えミスト(フィトンチッドスプレー) 】は、効果を研究機関で検証し、水で薄めて誤魔化したりせずにお届けしておりますので、ぜひ日常生活でご活用下さい。
参考文献
3) Dimsdale JE, Moss 1. Plasma catecholamines in stress and exercise. lAMA1980; 243:340-2.
こちらの記事も参考になさってください・
「これを機に生活環境を整えよう!」と思われた方は、ペットアカデミーの教材「須崎動物病院的 愛犬・愛猫の生活改革セミナー2022 」がオススメです。
「須崎に質問してみたい」という方は以下のボタンをクリックしてご活用下さい。