症状が消えたからキャンセルしたら…

診療

後悔する飼い主さんを減らしたいので

この記事は、最近須崎動物病院でよく起こる出来事で、飼い主さんがとても後悔されるケースです。

キャンセルしないでという意味では無く、一度並んだ列から外れると、もう一度最後尾からお並びいただくことになりますので、あらかじめご了承下さいというお話しです。

症状が消えたから安心する飼い主さん

「症状が消えたので様子みたいので、診療をキャンセルします。」

よくある普通の話です。

しかし、原因療法では、「症状が出た・消えた」はさほど本質的に重要なことではなく、枝葉の話です。


重要なことは、
===
症状をもたらす原因が処理能力の範囲内に落ち着いたか?
===
なのです。

症状は借金と同じ

例えば、浪費癖が酷い人が借金を抱え、それが身内だったとしましょう。


「貸した金返せ!」

と自宅に取り立てがバンバンやって来る…


見かねたあなたが「私が代わりに支払います!」と支払った…

コレでひと安心と思って安心していたら、また取り立てがやって来る…

何かと思ったら、また借金していた…

これを、
===
浪費癖→原因
取り立て→症状
身代わり支払い→対症療法

===
と置き換えたら…

● 症状の原因が日常生活にある
● 原因が蓄積する
● 原因が処理能力の限界を超えて症状が出た
● 症状が不快だ
● 不快は消すのが正しい!
● 対症療法で症状を消した
● 原因は残ったまま
● 奥でくすぶって…
● しばらくするとまた処理能力の限界を超えて症状が…

こんな風になる可能性があることはご理解いただけると思います。

症状消えた→診療キャンセル→その後…後悔

そこで、先の

「症状が消えたので様子みたいので、診療をキャンセルします。」

に話を戻しますが、当院でよくあるケースが、飼い主さんがこの決断をしてしばらくしてから…

● ペットの体調が急変する
● 診療キャンセルしたのをキャンセルします!
● しかし、当院は完全予約制で三ヶ月待ち…
● キャンセルされた枠はスグに埋まってしまってもう入れない
● 結果的にキャンセルした子は診療することが出来ず
● 他院で診療するも亡くなってしまい
● 飼い主さんが大後悔してご自身を責める…

ということが珍しくありません。


誤解していただきたくないのですが、うちにお越し下さいという意味では無いのです。

「体調が気になるペットを治してあげたい、かつ真剣に取り組む飼い主さんの悩みを減らす」
のが須崎動物病院のスタンスです。


そして、「ちょっとやそっとではグラつかない身体作り」のお手伝いをすることが当院の仕事です。


その視点で先のケースを見ますと、「それ、症状が消えただけで、まだ治ってませんよ…」ということになります。

症状が消えたから必ずしも安心ではない

症状が消えたら治ることもありますが、

===
症状が消える=治る ではありません。
===


症状が出た経緯から、「キャンセルして大丈夫かなぁ?」と心配にはなるのですが、一度列を離れた方よりも、他のお待ちいただいている方々を優先するのは当然ですから、順番を繰り上げて枠を埋めることになります。

そして、そんな心配をした子ほど、後で「キャンセルしたことをキャンセルしたい」という連絡を頂きます。

しかし、ルールはルールなので、最後尾に並び直していただくしかありません。


「何とかなりませんか?」

といわれても、そのご決断は飼い主さんがなさったことなので、こちらではどうする事も出来ません。

須崎動物病院は完全予約制で三ヶ月待ちです(ゴメンなさい)

須崎動物病院は、一頭一頭キチンと対応したいと思っておりますので、当院の治療方針をご納得いただいた方のペットを時間をかけて診療しております。

ですから、一日に対応出来る件数が決まってきます。


また、生活環境に原因がある場合は、生活の見直しもしていただくことになるので、理解力のみならず、実践力を飼い主さんに要求することになる動物病院です。


動物の身体は、獣医師が治すわけではありません。

動物の身体は、動物自信が治します。


獣医師の仕事は、「本来自然と治るはずの身体を邪魔している原因を自力で治癒できるレベルまで減らす」ことにあります。


その原因が生活環境にあるならば、飼い主さんにもご協力いただくしかありません。

そんなわけで、飼い主さんがキチンと理解し、必要なことを実践していただかないと「自力で元に戻る」ことが出来ないのです。


そんな飼い主さんに負荷がかかる動物病院ですが、全国から気合いと根性の入った飼い主さんに支持され、八王子診療所は現在三ヶ月待ちとなっております。


八王子では予約が取れないから大阪の移動式診療所の予約を取るという方もいらっしゃいます。


仙台、大阪、福岡、大分の移動式診療所も、大抵一ヶ月前には定員に達します。


ですから、キャンセルしていただくことは全く問題ないのですが、こちらは個別の事情を考慮せずに機械的にスケジュールの空きを埋めるしかございませんので、早まった決断・行動をしてしまったがために、後悔して自責の念に駆られることの無い様に、熟慮の上、ご決断していただけます様、お願い申し上げます。

関連記事