薬を使いたくない…という方は珍しくありません。
実は、私もその一人で、
「薬に負けた気がして悔しいから」
という非科学的かつ根性論的な理由です(笑)。
ただ、私個人は今までワクチンを接種されていない(激しい症状が出るから親がさせなかった。ただし、感染して発症したら諦めるという条件…)し、犬に噛まれて皮膚を縫ったとか、海で目をこすりすぎて白目が水ぶくれになった(笑)とか、骨折したなどの理由以外で病院にかかったことは記憶にある限りほとんど無いです。
普段、
「健康の秘訣は暴飲暴食不眠不休で不規則な生活を規則的に行うことです!」
と自分に言い聞かせ、
「こんなことをしたら具合悪くなるのではないだろうか…」
とか、
「こんなものを食べたら病気になるのではないだろうか…」
などと考えずに、
「私は鍛えれば鍛えるほど強くなるのです!」
と言い聞かせております(笑)。
もちろん、それが万人に当てはまるとは思っていないのですが、自分にだけは当てはまると信じ込むことにしています。
しかし、私のどこかに「万が一…」という気持ちもあるのでしょう。
年に二回、全身チェックを行う小心者でもあります。
私は、薬を使いたくなければ、
【薬を使わずに済む身体にしていないといけない】
と考えています。
では、愛犬・愛猫にとって薬を使わないといけない状態とはどんな状態なのでしょうか?
目次
家庭ケアの限界
そもそも、食事療法にしても薬膳にしても
【病気になる前の微調整】
をするツールであり、症状が出たらプロに立て直してもらうのがベストです。
最初の変化は小さく、飼い主さんには気付かないレベルでしょう。
例えるなら、ハートをアリがチョコチョコいじっている感じです。
その小さなハートが倒れ、次にちょっと大きなハートが倒れ、
その次にもう少し大きなハートが倒れ…
最初のうちは身体の処理能力の範囲内なので
食事や薬草、漢方薬などのマイルドなツールで立て直すことができます。
しかし、最後の大きなハートが倒れたら、その大きなハートをアリは支えられないのです!
大切なのでもう一度申し上げますが、
【最後の大きなハートをアリは支えられない】
のです。
ですから、大きなハートが倒れたら、獣医師の手を借り、グイッと立て直すしかないかもしれません。
ところが大抵の方は、この大きなハートが倒れてから
●食事療法・薬膳だけ
●漢方だけ
●自然療法だけ
で、飼い主の手で立て直そうと考えたりします。
それで立て直ったらいいのですが…
立て直らないと諦めた頃にはかなり状況が悪化し、
最初に気がついたときだったら復活できていたのに、
動物病院に助けを求めた頃には厳しい状況…
ということが珍しくありません。
特に、いろいろ勉強してきた方ほど、
【獣医の手を借りずになんとか切り抜けたい!】
と思われれるようですが、
意に反した結果になって、自責の念に駆られる方が珍しくありません。
いつでもあなたの出番はあります!
誤解していただきたくないので、
最後まで御熟読いただきたいのですが、
獣医師に頼ることは敗北ではございません!
だって、大きなハートを立て直していただいて、
投薬などでつっかえ棒をしていても、
その大きなハートにはそれまでの
【小から中のハートがもたれかかっています】
ということは、つっかえ棒が取れた(投薬中止)ら、
また大きなハートは倒れる(再発)わけです。
そう!
獣医師の処置と同時に、
小から中のハートも立て直す必要があります。
●大きなハートを立て直すこと
●小から中のハートも立て直すこと
の
【両方が大事】
なのであり、
後者は、飼い主さんの日々のケアによるのです!
よく、有名人が大病を患ってから亡くなると、
「科学的根拠に基づいた治療を拒否したから!」
などと叩かれますが、
完全な治療など無いのですから、
どちらかだけでなく、
どちらも活用しようとなぜならないのか、不思議でなりません。
(※具体的に誰かの話をしているわけではありません)
だとしたら、餅は餅屋に任せて、
獣医師に大きなハートを立て直してもらい
あなたは、大きなハートにもたれかかっているハートを立て直し
の協業で愛犬・愛猫の健康を取り戻すのはいかがでしょうか?
不必要に恐れたり、不必要に拒絶する必要はないと思うのです。
では、薬を使わずに済む身体にするにはどう考えたら良いのでしょうか?
薬を使わずに済む身体とは?
日常生活で薬を使わずに済む身体にするためには、
1.普段のケアを適切かつ効果的に
2.持って生まれた強靭な体力と気力
と思います。
後者は、何をやってもビクともしないので(処理能力の範囲内)、
おそらく飼い主さんは
「この子は病気知らず♪」
と感じていらっしゃると思います。
しかし、そんな頑丈そうな私を診療やセミナーでご覧になった方が、
「いつもお元気そうですが、医者の不養生という言葉もございますので、過信なさいませんよう、ご自愛ください」
とお気遣いくださいます。
ありがたいお言葉で、その言葉通りに、
年二回の全身チェックを行っております。
ですから、こう見えて私も、
普段のケアを怠っているわけではないのです!
では、どんな愛犬・愛猫にも普段のケアが大切なのでしょうか?
普段のケアについて
「うちの子、病気じゃないから何もしていません!」
という飼い主さんがいらっしゃいます。
しかも結構多く…
判断基準が
【症状が出ているか出ていないか】
ですし、
【馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない】ので、
「この方はおそらく症状が出てから(大きなハートが倒れてから)対処する方なんだなぁ。間に合うといいなぁ。」
と聞くだけにしております。
しかし、あなたのお肌ケアで考えてみてはいかがでしょうか?
美容に全く興味のない私ですら
「お肌の手入れ次第で、年齢を重ねるにつれ肌質に差が出てくる」
ということを存じ上げております。
そうです、日頃のケアが大切だということは、
実践が伴っているかどうかは別として、
ご存じなのではないでしょうか?
さっきのハートでいうと、
小から中のハートを倒さないように、
日々のケアが大事だということです。
では、どんなケアを心掛けたらいいのでしょうか?
入るものを減らし、処理能力を維持する
あなたがそう思えても思えなくても関係なく、
【身体は常に元に戻ろうとしている】
【症状は不快だが必要かつ正常な反応】
という原理原則から、何らかの症状は
【正常化のプロセス】
です。
ということは、健康を維持するためのケアとしては、
1.入ってくる異物を減らし(処理能力の範囲内に)
2.身体の処理能力を最大限に維持する
ことが、日常ケアとして重要です。
では、1の「入ってくる異物を減らす」ためには
どうしたらいいのでしょうか?
入ってくるものを処理能力の範囲内に減らす
ほとんどの異物は粘膜から侵入しますので、
通常のケアとしては
1)口内ケア
2)環境除菌
がメインとなります。
こう申し上げると、
「無菌状態・無菌室にしろっていうことですか?」
と誤解する方がいらっしゃるのですが、
そうではなく!
「処理能力の範囲内にしよう!」ということです。
クレジットカードの支払いが
毎月五千円なら大したことありませんが、
毎月五千万円だと、
三ヶ月で一億五千万円ですからためらいますでしょ?
それと同じことです。
特に、口の中は高温多湿で、
微生物が増えやすい環境です。
有用な微生物が増えるならいいのですが、
身体に悪影響をもたらす微生物が増えるのは困ります。
そこで、口内ケアの習慣が大事なのです!
ところで、なぜ環境除菌が大事なのでしょうか?
環境除菌は体質に影響する!
ちまたではよく、
抗生物質を使って体内から異物を減らしたはずなのに、
薬を止めた数日後に再発することってありますよね?
その理由の一つに、
【室内に異物が多い】
があります。
何を根拠にそういうかと申しますと、
これはあくまでも当院での診療例ですが、
環境除菌をすると再発が落ち着くことが多いからです。
須崎動物病院 八王子診療所にお越しいただくとわかりますが、
診療所開設10周年の2017年9月現在、
●けもの臭がしない
●消毒薬臭がしない
●掃除が行き届いていない部屋にありがちなホコリっぽさ、カビ臭さがない
のをご確認いただけると思います。
それは不思議でも何でもなく、
環境除菌に成功しているからです。
特に当院には全国から具合の悪い犬猫が連れて来られますので、
次の子に前の子の「置き土産」が渡らぬよう、
念入りに除菌してからお迎えしております。
だから、時間通りにお越し下さいとお願いしておりますし、
除菌が不十分だと外でお待ちいただくことになります。
原因療法をやっているとわかりますが、
「●●体質」
と診断されている子の大半が、
【異物の入る量と排除する量が同じ】
で、
体内の異物蓄積量に変化がないから戦闘状態が続く状態
を
【体質】
と診断されていると考えています。
なぜなら、室内除菌をすると
症状が落ち着いてくることがあるからです。
あなたのお肌のケア同様、愛犬愛猫にもケアを!
このように、須崎動物病院では
実際の診療を通じていろいろなことを確かめて
診療アドバイスや商品開発を行っております。
「私の言うことが唯一無二の正解だ!」
などと思い上がった気持ちはございませんが、
日々得られている結果から、
理路整然と筋の通ったことをお伝えしている自負はあります。
ですから、あなたが日々お肌をいたわるように、
あなたが毎日歯を磨くように、
愛犬・愛猫にもケアしてあげてください!
さて、あなたは予備知識に基づいた予測力を発揮して、
日常ケア(口内除菌と環境除菌)をなさいますか?
それとも、やらないで「結果を受け入れる」を選びますか?
私はどちらでもいいと思うのです。
ただ、選択したなりの結果になるだけですから…。
もちろん、定期検診もお忘れなく!