肥満した愛猫のダイエットを成功させるために「運動させたい」飼い主さんへ

ダイエット

肥満した愛猫のダイエットを成功させるために「運動させたい」飼い主さんへ

せっかく買ったキャットタワーに登ってくれない

先日、診療で
「太り気味の愛猫の運動不足解消のためにせっかくキャットタワーを買ったのに、愛猫が遊んでくれない…」
とお嘆きの飼い主さんの相談を受けました。


同居犬も太っていたらしいのですが、散歩の回数を増やすことでダイエットに成功されたそうです。

それをヒントに、猫にも運動をさせよう!とひらめき、いろいろ試してみたが、うまくいかない…とのことでした。

犬と猫、運動の違い

まず、犬と猫の違いを認識する必要があります。

大ざっぱに言うと、
犬→持久力に長けている
猫→瞬発力に長けている

という違いがあります。

ですから、犬は30分~数時間といった散歩(運動)が可能ですが、猫はそこまで持久力があるわけではありません。

ですから、「ダイエットさせよう!」として、キャットタワーを買っても、仮に遊んだとしても、ゼロではありませんが、それほどダイエット効果があるわけではありません。

猫は瞬発力→ダイエット効果は期待できない

もちろん、個体差がありますので、長時間運動する猫もいる様ですが、ほとんどが短時間型です。


そうすると、この飼い主さんの質問の中心は
「なんとかして遊ばせたい」

ではなく、
「愛猫を痩せさせたい」
に変更する必要があります。

太るということはつまり…

そもそも太る理由は明確で、
●消費カロリーが摂取カロリーより少ない
からです。

つまり、「食べ過ぎ」なんですね。

猫は運動によるダイエット効果が期待できない

ということは、痩せる(除脂肪)のポイントは、
1)消費カロリーを増やす
2)摂取カロリーを減らす
となります。


犬の場合は
1)→散歩時間や回数を増やす
2)→食事のエネルギー量を減らす
ことでダイエットができます。


しかし、猫は上記の通り「運動によるダイエット効果」が期待できません。

ということは、食事量のコントロールをするしかないのです。

肥満猫は食事のコントロールをするしかない!

以上の理由から、猫が運動では痩せられないこと、食事で痩せるしかないこと

は、ご理解いただけたと思います。

デブ猫は急に痩せたら肝リピドーシスになる!

ただし、犬と違って猫の場合は、「肥満猫の急なダイエットは脂肪肝になる(肝リピドーシス)可能性がある!」という特徴があります。

ですから、ゆっくりとダイエットする(時間がかかることを受け入れる)ことが重要です。

まとめ

と、気がつけば猫の運動の話ではなく、ダイエットの話になっていましたが、結論としては、猫は犬と比べて長時間運動をする生き物ではないので、仮にキャットタワーに登ったとしても、ダイエット効果が出るほど「登ったり降りたり」するわけではありません。

同様のことが、
●猫じゃらし
●レーザーポインター
●階段でピンポン球
などで言えます。

ですから、痩せさせる場合には、運動には期待できませんので、食事量のコントロールが現実的です。

ただし、肥満猫を絶食させたりすると肝リピドーシス(脂肪肝)になったりするので、専門家と相談の上、「現状に合わせた、適切なペース」でダイエットさせて下さいね。

予防に勝る治療はない!

最も重要なことは、こんな事態にならない様、肥満になる前から、ウェイトコントロールしておくことです。

そのためにも、飼い主さんが猫の肥満について、正確に理解しておくことと、「時には心を鬼にすることも愛情」という覚悟も重要なのです。


予防にまさる治療はありません。


肥満猫にしてしまったばかりに、急な食欲廃絶で大変な思いをしている飼い主さんがいて、その方々が「太らせるんじゃなかった…」と後悔していらっしゃるいることを、頭の片隅でもいいですから、意識しておいてください。

正確に理解できたら、行動が変わる!

「人は、正確に理解できたら、行動が変わる!
 行動が変われば結果が変わる!」

僕はそう信じているので、学術論文(本よりは正確なことが書いてある専門家が読む情報)をわかりやすくペット関連の仕事に就いている方々や、飼い主さん向けにセミナー形式で10年以上、お伝えしています。

最近は、

「私は勉強してきているから何となくわかるのだが、家族を説得できない…どういう風に伝えたらいいのか?また、伝えられないということは、自分の理解が十分では無いと思うので、基礎から確認したい!」

というリクエストが増えて来ましたから、須崎が主催するペットアカデミー2016年4月号から、「犬猫のダイエットを成功させる特集」をお伝えする予定です(収録済み)。


もし、無料の不確かな情報より、「学術的に適切な情報をわかりやすく学びたい!」
と思われた方は、ぜひ、ペットアカデミーの受講をご検討下さい!

(※この記事は、2016年3月10日時点の内容です)

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