目次
大切に育ててきたつもりなのに、がん宣告された…どうして…
ドッグフードばかり食べて、とくに大切にされている感じでもない子が病気もせずに長生きしているのに…
うちは大切にしていたのに何故がんに…?
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それは「食事とは関係ない理由」があるからかもしれません…
診療・電話相談において、上記のように「吐露」されることがあります。
「私の手作りご飯のレシピが問題だったのでしょうか?」
「やはり厳密に栄養計算しなければいけなかったのでしょうか?」
「生食を食べさせていたから?」
「加熱食を食べさせていたから?」
など、いろいろな疑問・後悔の言葉に触れます。
がん・腫瘍になる理由は食事だけじゃない
確かに、がん・腫瘍になる「原因の一つ」に食生活はありますが、それが全てではありません。
人間でも、駄菓子にカップラーメンの生活で何ともない人もいれば、普段は食材や調理方法にかなり気を遣っているのに、ちょっと油断しただけで体調が悪くなる方もいらっしゃいます。
お酒を飲んで心地よくなる人もいれば、僕のようにすぐ眠っちゃう人もいるのと同じで、
- 食材の影響力
- 調理・加工法の影響力
- 食べた子の反応性
これらが、複雑に絡み合います。
このような個体差があるので、食事だけで全てを決めつけるわけにはいかないと、診療経験を通じて学びました。
病気と食事の関係は大別すると3つ
原因療法の診療現場では、不調になった理由と疑われる原因を探るわけですが、病気と食事の関係は大別すると3つ
1)食事だけが原因の場合
2)食事「も」原因の場合
3)食事はいっさい関係ない場合
があります。
食事を見直しても解決しないこともある
ですから、もし3)の「食事は一切関係ない」ケースだった場合、食事をあれこれ修正しても、何も変わりません。
そうすると、見直している間、ただ時間だけが経過し、状態がこじれ、「自力で復活出来たかもしれない時期」を逃し、かかりつけの動物病院で余命宣告される…
そんな経過をたどってしまった子が当院に連れて来られる子達の7−8割です…
でも、飼い主さんが「知らなかったこと」は出来ないし、過去は変えられませんので、「そこ」から再スタートするしかありません。
最悪の事態を想定して伝えているだけの獣医師もいる
突然余命宣告され、
と淡々と言われたら、ビックリしちゃうのも無理はありません。
でも、それは「このままだとこうなる可能性が高いです」という警告だよ?と受け取って欲しいのです。
科学の大前提に「条件が変われば結果が変わる」があります。
初動が遅れないことが大事
でも、どう変えたらいいかは症状だけでは決まらないので、探ってくださる獣医師の所に連れて行くしかありません。
そして、その見立てを正確かつ結果につながる様な基準で取り組むのが飼い主さんの役割です。仮に見立てられたとしても、必ず確認はしてもらって下さい。須崎動物病院に連れて来られる子の大半が「初動が遅れた」なので…。
ネットで調べても暗い話しか出てこない…
この飼い主さんも「私がまだ気付いていないことが、何かあるはずだ」とネットで検索されたそうです。
でも、暗い話しか出てこず、希望を持てる話が全く見当たらなかったそうで、ついついあきらめそうになったそうです。
専門的な知識を持ち合わせていない飼い主さんがほとんどだと思いますが、その状態で「検索するもの、検索するもの、次々と暗い話ばかり…」だったとしたら、飼い主さんはどうやって「我が子」と暮らし、ケアをするモチベーションを維持したらいいのでしょうか?
餅は餅屋の言葉を思い出す
だからこそ、こういうことは餅は餅屋にまかせるのが一番だと思います。
料理の世界では「高級食材は扱い慣れているお店が一番食材の良さを引き出すことができますよ。」と言われます。
ですから、正論を上から目線で強い言葉で伝えるだけの診療は、「間違いではない」けれど、「そうではないんじゃない?」と思うわけです。
飼い主さんの気持ちが暗いまま取り組んではいけない理由
飼い主さんが暗い気分になって取り組んだら、それは愛犬愛猫に伝わるし、それを犬猫が飼い主さんに対して申し訳なく感じ、ストレスになったら、治癒の邪魔になりますよね?
だから、目の前のことに適切に全力で取り組み、結果はゆだねるというスタンスはとても重要だと思うのです。腰掛け状態で取り組むのではなく…。
精神論と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、このように、受け手側の反応パターン次第でずいぶん結果が変わってくる可能性を完全否定する要素はありません。
がん・腫瘍は原因が複雑ですから、「食事以外の根本原因」の究明とそれらの排除すれば状況は変わるのではないだろうか?と今までとは別の視点を持ち、取り組むことはとても重要です。
飼い主さんの仕事は結果につながる基準で日々のケアを行うこと
そんなときに、暗い気持ちの飼い主さんが自分で原因を探るといっても、技術的な問題もあれば、心理状態的にもなかなか難しいので、そこは「餅は餅屋」の言葉を思い出して、プロに頼ってください。
そして、飼い主さんが本気で取り組むべきは、「飼い主さんが見立てること」ではなく、プロの見立てに沿って日々のケアを「結果が出るように、高い基準で取り組むこと」です。
とにかく、食事は関係ないケースなのに、食事の見直しに固執してしまったばっかりに、「先週までは元気だったんです。でも、月曜日になったら急に立てなくなって…」みたいなことは普通に起こることなので、早い段階で適切な行動をお願いいたします。
初動の遅れを取り返すのは難しい…
須崎動物病院に連れて来られる余命宣告された子達の大半が「初動が遅れた」ことも原因なので、嫌われてもいいから、これだけはお伝えしておかなきゃと思って、お伝えしました。
遅れを取り返すのは、とても大変なのです。
「須崎動物病院に連れて来い」と言っているわけじゃないのです。方法はなんでもいいから、同じようなスタンスの獣医師の所に連れて行って欲しいのです。
初動が遅れてしまったがために、頭を抱えて後悔することになる飼い主さんを一人でも減らしたい…それが、現場の意見なのです。
適切に伝わる事を願っております…
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