愛犬、愛猫の一時的な検査結果の変動に動揺しないための心構え

飼い主さんにお願いしたいこと

血液検査・尿検査・画像検査の結果に一喜一憂しない

発売開始1ヶ月で増刷決定!

まずはじめに、2010年12月に出版させていただきました
「かんたん!手づくり猫ごはん(ナツメ社)」ですが、
なんと、発売開始1ヶ月で増刷となりました。

そして、
「読者の知りたいことを予めアンケートで集めてそれに応える方式」
にご興味を持っていただいた新聞社や出版社の取材も多数いただきました。

本当にありがとうございました。

さて、検査結果の話です。

物事は常に変化し続ける

中学か高校の時に暗記させられましたが、
鴨長明の「方丈記」の冒頭は
次のように始まります。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ゆく川の流れは絶えずして、
しかも、もとの水にあらず。

よどみに浮かぶうたかたは、
かつ消えかつ結びて、

久しくとどまりたるためしなし。
────────────────────
川の流れは絶えることはないが、
そこを流れる水は同じではない。

よどみに浮かぶ水の泡は、
消えてはまた生まれ、

長い間とどまることもない。
────────────────────
すべてのものは、変化し、移り変わる(無常)
という思想を
川の流れに例えた内容です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

川の流れに限らず、私たち人間も、イヌもネコも、絶えず変化して生きています。
決して同じ状態でとどまっているわけではありません。
ですから、血液の状態も刻一刻変化します。
ただ、ある程度の範囲に収まっているので、身体が「見かけ上」ある程度一定な状態を維持できている「ようにみえる」だけで、「一定なわけではない」ことを共通認識にして欲しいのです。

検査結果も変動する

また、私達は無菌室で生きているわけではありませんから、なにがしかの異物が侵入しようとチャレンジしていますし、それを大事にならないように排除・処理しています。
ですから、一時的に症状が出たり、検査結果が乱れる可能性はゼロではありません。
しかしそれは、酒を飲んで酔っ払うのと一緒で、しばらくすれば元に戻るような話です(ときどき戻れなくなる人もいるみたいですが…)

肺に影がある→肺の腫瘍…詰んだ…?

以前、須崎動物病院に、
「うちの子が突然咳をし出して、かかりつけの動物病院に行ってレントゲンを撮ってもらったら、肺に影があるので、肺炎か肺の腫瘍かもしれないと言われたんです(涙)。」
という方がいらっしゃったことがあります。

しかし、よくよく伺ってみると、そのちょっと前に飼い主さんのご家族「全員」が熱と咳が出て寝込んでいたなんていうことがあったそうで、
「それって、一過性にとバッチリ受けただけじゃない?」と思ったので、実際にイヌの原因を探って排除させていただいたところで、もう一度かかりつけの先生の所で検査していただいたら
「正常ですね。」
と言われたそうです。

説明を聞いても頭に入ってこないときもある

恐らく、その動物病院の先生は、キチンと解説してくださっているはずなのですが、
飼い主さんは
「肺ガンかもしれない…。」
で頭がいっぱいになってしまい、重要な言葉(例えば、「一過性の反応かもしれませんね…など)が頭に残らなかったのかもしれません。

検査結果は、その時点での結果であり、ある程度の幅を持って変動しうるものです。
一度外れたら「終わり…」とは限らないのです。
このことがわかっていると、検査結果に一喜一憂せずにすむのですが、どうしても振り回されてしまう飼い主さんが少なくありません。

普段の「理解」はとても大事!質問しよう!

ですから、「この検査の意味は?」をある程度正確に学んでいただけると、担当獣医師の説明も、落ち着いて聞けるのではないかと思います。
しかし、経験の少ないことを文字だけで学ぶのは難しいことですから、かかりつけの先生に「今更なんですが…」と質問してみてはいかがでしょうか?
きっと、喜んで教えてくださると思いますよ。
心の平安のためにも、質問してみてください。

関連記事