急にシコリができたと思ったら、急にしぼみました…なぜですか?

がん・腫瘍

急にシコリができたと思ったら、急にしぼみました…なぜですか?


春先の急なシコリ

春先は特になのですが、

「急に身体の表面にしこりがボコボコ出てきました。皆さんお待ちなのはわかっておりますが、早めの診療を希望します。時間帯はどこでも合わせます。急なキャンセルが出たらそこに合わせます。」

というご依頼が増えます。

当院は「完全予約制」のため、お申し込み当日に予約が取れる状態にはありません。

特に春先は季節的に大変混み合い、しばらくお待ちいただくことになることがほとんどです。

しかし、この方は、時間の自由度が高かったので、急なキャンセルになった枠をご案内したら「いきます!」ということで、診療のご縁がつながりました。。

お待ちいただいている間にシコリが消える不思議…

お待ちいただいている間に

あんなに沢山出てきたシコリが、昨日あたりからしぼみはじめました…

というご報告を受けました。

普通は「ちょっと様子をみます」でキャンセルすると思うのですが、須崎動物病院を目指してお越しになるような飼い主さんは、普通ではありません(褒め言葉)。

中には油断して痛い目に合ったご経験のある方もいらっしゃるので、「なんともないを確認したい!」と思われる方がほとんどです。

この飼い主さんも「しぼんだ」にも関わらず受診され、

「この子の身体で、何が起こっていたのでしょうか?」

を確認したかったのだそうです。

答えは一つじゃないけれど、原因は絶対にある!

科学の大前提に「条件が変われば結果が変わる」があり、同じ原因でも症状が違うこともあれば、同じ症状なのに原因が異なることだってあります。

だから、原因療法にパターン医療は通用しません。一頭一頭丁寧に調べていくしかありません。

なので、探る技術は磨きつつ、過去の事例に過度に固執しない姿勢は原因療法にとって重要なことです。

だから、本を読んで勉強するような内容ではなく、師匠が私達に教えてくれた「身体にお伺いを立てるのです。」というスタンスが非常に重要です。

という背景がわからないと、強引にパターンに当てはめて、邪魔でしかない思い込みができ、そのうち大きな誤診をする様になるので、師匠達は「その時の最適解(正解とは限らない)」を書面に残しませんでした

最初は僕も修行が足りないので、「ケチ!」と思ったものですが(笑)、今となっては「変な思い込みで失敗すると、自分の信用問題はどうでもいいが、患者さまに申し訳ない。」という解釈ができるまでに成長しました。

とまぁ、こんな背景があり、様々なケースがあるので、「必ずこうです」というわけではございませんが、

恐らくこんなストーリーが考えられます。

正常な免疫応答の結果としてのシコリ説

異物(菌など)が体内に侵入

→血管やリンパ管内を移動

→体表リンパ節で捕獲

→そのリンパ節で白血球が異物を攻撃

→攻撃した証として炎症反応が生じる

→正常な炎症反応の結果、体表リンパ節が腫れる

→見た目で「身体の表面にシコリがボコボコ出てきた」と感じる

→飼い主さん慌てて診療依頼

→ところが免疫システムは正常なので、通常の一週間程度の白血球の攻撃で処理完了

→炎症反応落ち着く

→シコリがしぼみはじめる

このように、免疫システムが正常だから、一過性の異物量増加に対処したら「体表がボコボコ腫れる…」なんてことになる「可能性もある」のです。

症状が出る=悪化じゃなくて、正常に免疫応答出来るサイン

菌などの異物の侵入量が多いと、白血球はより全力で闘うため、強い炎症反応が起こることがあります。

この炎症反応は「悪い反応」ではありません。

火災報知器と一緒で、

「正常でない事態が起こっていますよ!」

と教えてくれているとお考え下さい。

敵の量が少なければ3日程度

多ければ5~10日で事態は収束に向かうことが多いです。

もちろん、異物量が多すぎるとさらに期間が延長することが考えられます(もちろん、個体差あり)。

さらに、生活環境から次々と補充される状態だと、改善が長引いたり、ずっと続いて「体質ですね…」なんて言われることもあります。

症状はサイン、という解釈は大事!

とにかく、全力で闘った結果

「今、異物が侵入しておりますが、闘っていますよ!」

というサインとしてシコリができ、

処理が収束に向かった結果しぼむ「こともある」と知っておいていただきたいです。

もちろん、その見極めは飼い主さんには難しいので、原因療法に取り組む獣医師のご判断・ご指示を仰いでくださいね。

この飼い主さんは、普段から須崎のメルマガをお読みいただいているらしく、「いつか行きたいと思っていたけれど、うちの子は重症じゃないしな…」と遠慮していたのだそうです。

「今回は重症かもしれないから、診療を申し込んでもいいだろう!」と解釈されて、初診療を体験されました。

こちらの意図と違う解釈になっていたみたいだったので、訂正させていただいたのですが、須崎動物病院は「結果的に連れて来られる子達の7−8割が余命宣告されていて、普段は2−3ヶ月待ちの動物病院」みたいになっておりますが、重症でないと診ないという訳ではありません。

むしろ、自力で復活出来る体力が残っているうちにお越しになって欲しいなと思ってはいるのですが、ほとんどが「自立歩行困難」な状態だったりするので、普通に歩ける子が連れてこられると、ちょっとホッとしたりしています。

もちろん、なにごともご縁だと思いますので、通常通り2−3ヶ月待ちになるかもしれませんし、偶然キャンセルが出て、そこにスっと入れるかもしれません。

ですから、僕がお役に立てそうなら、試しに門を叩いてみて下さいっ♪

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