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愛犬・愛猫の成長が思うようにいかず、不安になっていませんか?
もし今あなたが、わが家の「成長期」の愛犬・愛猫に
「成長が遅い気がするけど大丈夫?」
「身体が小さいのは食事が原因?」
「もっと大きく育ってほしい」
「何を食べさせればいいの?」
「もっと大きくするために他に何かできることはある?」
こうしたお悩みを抱えているなら、このコラムが役に立つかもしれません。
診療でお話をさせていただくと、飼い主さんが
「最初の疑問の立て方が違っていたんですね…」
そう気づくことで、成長の本質が見えてきます。
犬・猫の成長に影響を与える5つの要因
犬の成長には、遺伝・ホルモンバランス・運動・睡眠・ストレスなど、さまざまな要因が関係しています。
1. 遺伝(影響度: ★★★★★) → 両親の体格がそのまま遺伝しやすい
2. ホルモンバランス(影響度: ★★★★☆) → 成長ホルモンや性ホルモンが関係
3. 運動(影響度: ★★★☆☆) → 適度な運動は筋肉の発達を促進
4. 食事(影響度: ★★★☆☆) → 必要な栄養が取れていればOK(過剰摂取は不要)
5.ストレス(影響度: ★★☆☆☆) → 慢性的なストレスは成長を妨げる要因
こんな場合は獣医師に相談を!
そこで知っておくといいのが、「獣医師に相談した方がいいケース」です。
子犬子猫の成長に関して
獣医師に相談した方がいい4つのケース
1. 生後6ヶ月なのに、まったく成長していない(生後6ヶ月を過ぎても体が小さい)←遺伝的な成長限界ではないかチェック
2. 食欲はあるのに極端に痩せている(消化不良や代謝異常の可能性)←消化吸収の問題や病気の可能性
3. 1年以上体重が増えていない(ホルモンバランスの異常の可能性)←栄養バランスやホルモン異常を疑う
4. 他の症状(下痢・嘔吐・毛艶の悪化など)がある(下痢・嘔吐・毛艶の悪化など)←体調不良のサインとして注意
を目安にしてください。
今日からできる!愛犬・愛猫の成長をサポートする3つのこと
次に、そのために「飼い主さんが今日からできる3つのこと」をご紹介します。
1. 愛犬・愛猫の食事量や成長の記録をつけてみる→ 何をどれだけ食べているか記録(スマホのメモでもOK)
2. 過去の体重推移を確認して、変化を見直す→ 毎月同じ日に測り、成長の推移を確認
3. 気になる点があれば、獣医師に相談してみる→ 「成長が止まった?」と感じたら、早めにチェック
人が何かに疑問を持つ場合、その背景には何らかの「信念」や「前提」「判断基準」があります。
例えば、
「大きく育てたいのですが、何を食べたら大きくなりますか?」
というご質問をよくいただきます。
犬・猫の成長が遅いと感じる原因とは?
では、なぜこのような誤解が生まれるのか?
それは、「人間の成長」と同じ考え方をしてしまうからです。
「しっかり食べると子供は大きくなる」というのは、人間社会では一般的な認識ですが、犬や猫の成長は遺伝的な要素の影響「も」強く、単純な食事量だけで変わるものではありません。
また、後天的にどこまで伸ばすことが出来るかは解りませんが、
少なくとも、
「大きいから生き物として、優秀な生き物」
「長生きだから生き物として、優秀な生き物」
「小さいから生き物として、ダメな生き物」
「短命だから生き物として、ダメな生き物」
ではないと思います。
「大きい方が優秀」「長生きが理想」という考え方は、人間社会の価値観 から生まれているのかもしれません。
しかし、野生動物の世界では、「環境に適応できるかどうか?」が重要で、体の大きさが優劣を決めるわけではありません。
食事だけでは成長が決まらない?よくある誤解
なぜ「食事で成長が決まる」と思ってしまうのでしょうか?
実は、この誤解には3つの要因があるのではないかと考えています。
1. 人間の成長理論の影響 → 「食べれば成長する」という子供の成長論と混同してしまう
2. ネット情報の偏り → 「このフードで骨が丈夫になる!」といった広告を信じてしまう
3. 他のペットとの比較 → 「あの子は大きいのに、うちの子は…」と悩んでしまう
が主に考えられるかもしれません。
飼い主さんが気をつけるべき情報源
では、飼い主さんがどんな情報に影響されるのでしょうか?
診療にお越しになる悩める飼い主さん達とお話をしていると気付くことですが、手軽に手に入る「販売につながる情報」や、「雑誌の情報」などで消費につながる様な情報を「真実」と思いこまされている可能性があります。
成長の大部分は生まれつき決まっており、個体ごとに異なります。
が実際の所なのではないでしょうか?
大きくなる子は何を食べさせても大きくなるし、大きくならない子は何を食べさせても大きくならない
ということは、ご理解いただきたいと思います。
大切なのは、その子にとっての最適な状態を維持することです。
時々、飼い主さんが
「私が飼い主失格だから…」
と思い詰めている状況に出くわしますが、
明らかな不注意ならともかく、
飼い主さんの努力ではどうにもならない事だってあります。
そんなに思い詰めることなく、現状で、共有する時間を楽しむことを考えていただきたいなと思います。
少なくとも今の段階では、
「これを食べると大きくなる」
も
「これを食べると大きくならずに済む」も、
どちらも「受け手側の反応性や素質」に寄るところが大きく、「やってみないとわからない」が正直なところで、結果的に大きくなったり小さくなったりするだけなんだと理解しておいてください。
以上、参考にしてみてください。
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