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手作りご飯で歯周病に?歯垢・歯石に関する誤解を解く
よく「手作りご飯を食べさせると歯垢や歯石が溜まりやすくなると聞きましたが、本当でしょうか?それを聞いて手作り食を食べさせるのが不安になっちゃって…」というご質問をよくいただきます。
確かに、何の予備知識もなく、突然そんな話をされると、そうは言っていないのですが、「手作り食は危険なのでは?」という印象になってしまいそうですね。
そんなときは、便利な「視点を変えてみる」をオススメします。
硬いフードで歯がキレイ?その神話に『まてよ…』の一言を
では、手作り食でない子達、例えばドライフードを食べている子達は、例外なく、必ず歯垢や歯石が溜まることはないのでしょうか?
つまり、「ドライフードや生食を食べたら、歯は例外なく『キレイ』なのでしょうか?」
確かに、硬いものを食べることで、歯の表面に付着したものを取り除くことが出来ると、CMで言われていますから、「あっ、そうなんだ!」と思いこんでしまいます。
そして確かに、手作りご飯にしてから歯垢が溜まりやすくなり、それが歯石となり、それが原因で歯周病になって、歯の根元から血液、リンパ液を介して全身に歯周病菌が広がって全身性の疾患になった子がいたりします。(なぜかフードでそうなっても指摘されないのですが…)
しかし、ここで伝家の宝刀「まてよ…」を抜いて欲しいのです。
フードでも生肉でも歯垢は溜まる!食事と歯の健康の真実
私が知る限り、フードを食べてきた子も、生肉食の子も、同じ様に歯垢→歯石→歯周病→体調不良になる子は多いので、「手作り食だから歯垢が溜まり、歯石が出来る、だから手作り食は危険だ。それ以外は大丈夫だ」と、短絡的に結論づけることは出来ないと考えます。
普通に考えてもわかりますが、あなたの場合を想像してみてください。夜、歯磨きの代わりに、硬い「せんべい」をかじって、歯磨きの代用に出来ると思われますでしょうか?
もちろん、「できる!」と答える方はいらっしゃらないと信じたいだけなのですが…。
歯の表面がキレイでも安心できない!隠れた歯周病のリスクとは
事実はこうです。
↓↓↓
- 人間同様、ペットも何かを食べたら必ず歯垢はつきます。
- それは、硬いものを食べようと、柔らかいものを食べようと関係なくです。
- ヒトの5倍速で歯垢が歯石になります
- 犬猫は3歳で80%が歯周病と言われています
- 毎日の歯みがきが歯石蓄積予防に最も効果的です
- 硬いものを噛むと歯の表面の汚れは取れるかもしれませんが、歯と歯ぐきの境目の一番重要な歯肉溝の歯垢は取れないので、放置すると「硬いものを食べていて、歯が綺麗なのに歯周病…」になったりします
当たり前なのですが、歯みがきジェルや歯みがきウォーターはあくまで補助・サブでしかなく、歯みがきが一番です
口腔ケアをするかしないか、ペットの健康を左右する選択
大切なことは、お口のケアをするかどうかです。
ロープを噛むなどでもいいのです。
もちろん、歯磨きが出来ればなお良いと思います。
したらしたなりの、しなかったらしなかったなりの結果になるということです。
歯石がビッシリついてしまった場合、それがもとで歯周病→全身性の疾患と拡大する可能性があります。
できれば早急に除去できた方がいいと思います。
やらなくて済む理由を作る人たち、そのズルさに気をつけて!
ちなみに、世の中にはズルイ人がいて「面倒なことをやらずに済む理由を探すのが得意で、それを周りを巻き込んで『やらなくて済む・責められない環境』を整えて、自分の身を守る」ような人がいます。
あなたの周りにもいませんか?そんな方…
もちろん、人それぞれですから、そう思われるならそうしていただいていいのですが、巻き込まれた人は迷惑ですよね…。
気がついたら変なことに巻き込まれていた…なんてことにならないよう、いろいろな視点をもっておいてくださいね。
※須崎動物病院では2006年からお口のケアを推奨してきました。当時は「犬猫の歯みがき」は一般的ではなかったので、「口腔ケア」という言葉を使っても伝わらず、「口内ケア」とお伝えすると理解していただけたので、須崎動物病院では慣習的に「口内ケア」という言葉を使っておりますが、意味は「口腔ケア」と一緒です。
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