マラセチアによる外耳炎が毎週耳掃除をしているのに治らない犬の話

外耳炎

マラセチアによる外耳炎が毎週耳掃除をしているのに治らない犬の話

毎週、愛犬の耳掃除をしているのに、外耳炎がなかなか治らないという話をよく聞きます。

こんなとき、「外耳炎体質だからしかたない…」などという視点があるそうですが、私は解決するにはどうしたらいいかという視点を持ちたい一人です。

そもそも、「私たちは今得ている結果を得ることに成功している」という原理原則がありますから、努力しているのに改善しないという事は、見立てが悪いか、やり方が悪いか、改善の途中か、どれかと考えます。

須崎動物病院も2019年10月で開設20周年、そして、原因療法に取り組み始めてから13年目になりました。

外耳炎の根本原因のありかは大きく3種類

熱心な飼い主さん達のおかげで、外耳炎がなかなか治らない場合、根本原因のありかがだいたい3種類に分かれると考えます。
①外耳道そのものにある場合
②耳の近くにある場合
③耳から離れたところにある場合
の3つです。

須崎動物病院では、原因療法に取り組んでいるので、どのパターンの外耳炎なのかがを探るようにしています。

また、それを踏まえて、何を排除したらいいのかを探ることもできるようになりました。

須崎動物病院には、毎週耳掃除をしているのに外耳炎が治らないという犬猫が連れてこられます。

一般的な外耳炎の治療法

一般的には、検査をして、何がいるかを調べ、その何かを排除すると言う方向に向かうのがスタンダードな標準的な治療です。

例えば、マラセチアがいた場合、マラセチアを除去します。

しかし、実際にはマラセチアなんてどこにでもいます。

ですから、どこにでもいるようなマラセチアを排除しようと思うことは、「目の前の空間をうちわで仰いで、『真空にします!』と言っているようなもの」です。

本質的な解決にはなりません!

マラセチアがいるから外耳炎になるのではなく、マラセチアごときに突破されるような皮膚バリアしか張れていないから、マラセチアの侵入を許し、それに対して「必要かつ正常な免疫応答」が起こった結果、外耳炎になっているだけなのです。

では、どう考えたらいいのでしょうか?

マラセチアごときに突破されるような皮膚バリア

原因療法的には「どこにでもいるようなマラセチアごときに突破される程までに皮膚バリア機能が低下している」と考えます。

この皮膚バリア機能が低下している原因根本原因が、耳にあるのか?、耳以外にあるのかまた耳以外にある場合、耳の近くにあるのか耳から遠いところにあるのかを探るのが原因療法ですです。

そして根本原因がなくなれば、外耳炎であり続ける理由がなくなりますので、基本的には改善することになります。

もちろん、治療過程では自然治癒力を発揮して戦いのスイッチを入れるので、症状が一時的に悪化する事はあり得る話ですが、症状は必要かつ正常な反応ですから、根本原因がなくなるまで戦わせれば、症状が出続ける理由はなくなります。そこは乗り越えていただくしかありません。

症状が消えたのは適切?不適切?

また、症状が消えたとき、症状が消えたからといって安易に喜ぶのではなく、
①根本原因が抜けて症状が消えたのか?
②それとも症状を消しただけなのか?
の区別をつけることが必要です。

前者なら安心なのですが、後者の場合には再発する恐れがまだ残っています。

ですから、薬などで症状を消す事は、症状が消えさえすればいいという方には、望みを叶えてくれる方向性なのですが、「症状を単に消したって、根本原因が残ってたらまた再発するのは当たり前だよね?」ということに気づいてしまった方にとっては、症状だけを消すという対応は物足りない治療なのかもしれません。

そういうことに気付いてしまった方には、対症療法と同時に根本原因を減らす治療が納得出来る治療になるのかもしれません。

どこに何がどれくらいあるのかを探る

そんなときには、根本原因がどこにあるのかを探ってくれる動物病院で、
①根本原因が身体のどこにあるか?を探っていただき
②その根本原因を取り除いて減らし(ゼロにはならない)
③根本原因が今後増えないようにするにはどうしたらいいのか?
を3つとも考えてくれる動物病院で、対応してもらうのがよろしいと思います。

上っ面の症状だけ消えれば良いという考え方を否定はしませんが、結局根本原因が「身体の処理能力限界を超えて」残っていれば再発する可能性は高いので、本質的な解決をする方が、将来的にも良い解決法なのではないだろうかと思っております。

ゴールはマラセチアがいるのに外耳炎にならない状態

目標とするところは、特別に強い状態ではなく、

「普通」

の状態です。


皮膚バリアが正常に張られているならば、例えそこにマラセチアがいたとしても、皮膚バリアが正常ならば、外耳炎などおこらないからです。

繰り返しになりますが、マラセチアがいるから外耳炎になるのではなく、マラセチアごときに突破されるような皮膚バリアしか張れていないから、マラセチアの侵入を許し、それに対して「必要かつ正常な免疫応答」が起こった結果、外耳炎になっているだけなのですから。


須崎動物病院では、原因療法的な視点で、
①根本原因がどこにあるのか?
②症状に関係する原因ではなく、根本原因は何なのかを探り
③その根本原因を減らすにはどうしたらいいかを考え
④体内から減らしつつ、再度増えないようにするにはどうしたらいいかを考え
⑤環境のを整え、再発しないように対処する。

という診療を行っております。

もし、お近くに根本原因を探ってくださる動物病院がなければ、北は北海道南は福岡から東京と八王子にお越しいただいておりますので、ぜひご活用ください。

くどいようですが、症状を消すこと対症療法を完全否定しているのではありません。

別な視点もあると言うお話でございました。

くれぐれもお間違えなきよう、誤解しないようによろしくお願いいたします。

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