肝臓病には肝臓を食べた方が良い?

原因療法 食事・栄養

熊本県 佐藤麗華さま

血液検査で、
「肝臓の数値」が高いと言われ、
あれこれやりましたが、
なかなか下がりません。

それでホリスティック医療の勉強をしている
友達から、「肝臓病には肝臓を食べた方が良い」
と言われ、出してみましたが、
食べてくれません。

どうしたらいいでしょうか?

佐藤様、ご質問をありがとうございます。

肝臓病には肝臓を、
というのはよく言われますが、
僕は

「方法はいくらでもあるので、
手段に固執する必要なし!」

と考えます。


この情報の大元は、
「以肝補肝」
(レバーを食べて肝臓を強化する)
という言葉で、

自分の体に不具合があった場合、
動物の同一部位を摂取することで、
悪い部位を治すことができる

という考え方です(この場合は肝臓)。

ザックリと
そういう考え方もあろうかと思いますが、
「肝臓の数値が高い」
のには、様々な原因が考えられます。

その、
「高くなった理由」
はさておき、

「数値が下がりさえすれば良い」
という考え方は

「普通そうでしょう?」

ということになっておりますが、
個人的に

「そうだろうか?」

という疑問が出てきます。


そもそも、何かが起こった結果として、
「数値が上がった」
わけであり、

その原因が改善された結果として
数値が下がるのなら良いのですが、

原因は残したままで数値だけを下げて、
安心して良いのでしょうか?

こう質問すると、

「えっ?いいんじゃないんですか?」
とおっしゃる方と、

「言われてみればそうですよね?」
とおっしゃる方に分かれます。


なにが正しいとか、間違っているとか、
申し上げるつもりはございませんが、
須崎動物病院としては、

「物事には必ず原因がある」
「原因がなくなれば、症状が出続ける理由も無くなる」
「症状が出ているということは、異物侵入など、何か、普通ではないことが起こっているお知らせ」
と考えておりますので、

● なぜ数値が上がったのか?

を探った上で、
対処していただきたいなと思うのです。
(押し付けはしませんが)


で、話は元に戻りますが、

私自身は診療経験や、諸般の事情から、
「肝臓病にレバー」
はそれほど重要なこととは思っていません。

基本的には、
「何もしないで休ませる(食べない)」
が一番だと思っています。

なぜなら、
そのくらいの処理能力はあるハズ
だからです。

次に、
何か異物の影響を受けているのではないか?
と考えます。
● 化学物質
● 病原性微生物
● 重金属

いろいろ考えられます。

さらに、
肝臓以外の臓器・組織から、
肝臓が「とばっちり」を受けている
可能性もあります。

この場合、
「よそからの影響で肝臓がダメージを受けている」
わけですから、
いくら肝臓によいサプリメントを摂取しても
何も解決しないということになります。

異物の処理や修復には
エネルギーを消費します。

体力のあるうちに、
元に戻れば良いのですが、

食欲が無くなり、
筋肉量も減ってきたりすると、
戻るに戻れなくなる可能性が高くなります。


ですから、早い段階で、
この子の身体で何が起こっているのか?

それも、形態変化などの結果ではなく、
そうなった原因は何か?

を追求出来たらと思います。

今まで、最初の所で飼い主さんが
あまりにも長く粘ったために、
獣医師の所に連れて行くことには、
もう自力で復活する体力もなくなっていた
というケースが少なくありません。

そうならないように、
最初の段階から「状況把握」をしていただき
獣医師としての処置はこう!
自宅ケアはこう!
と、信頼関係に基づく、
役割分担が出来たらいいですね。

そのためにも、
普段から、
かかりつけの先生といろいろ相談して、
いざというときに備えていただけたらと思います。


無理はしない方が
飼い主さんの肝臓にも良いですよ!
(心配事などのストレスは肝臓に負荷がかかる)

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