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足が腫れ上がり、骨肉腫と診断された…
2017年8月、一頭のフレンチブルドッグの左後足が腫れ上がりました。
外周30センチほどだったそうです。
近隣の動物病院で検査を受け【骨肉腫(骨の悪性腫瘍)】と診断されました。
そのときの足のレントゲン写真がこちらです。
骨が破壊され、その周囲の軟部組織にも腫れがみられます。
本来ならば、太ももの骨とスネの骨の間には隙間があるのですが、それが無くなっているのが解ります。
そして、飼い主さんは次のように言われました。
余命三ヶ月
●余命三ヶ月、もって半年、一年生き長らえることはない
●今後、足の腫れがひどくなり
●激しい痛みを伴うようになり
●血管を介して腫瘍細胞が全身に転移することが多く
●肺や他の骨への転移が起こります
ですから、
●断脚(足を切り落とす)ことをすすめます
●転移先の治療として、抗がん剤治療をすすめます
●その他、あれがああなって、これがこうなって…
飼い主さんは、「余命宣告」され、「断脚」と言われて、そのあとのことは正確に記憶は無いが、ドンドン大変な状態になっていくようなことを言われたと…。
この内容、獣医学的には何も問題のない、適切な見解だと私は思います。
セカンドオピニオンを求めるも…
「でも、何か他に方法は無いのか?」
と考えた飼い主さんは、他院でセカンド・オピニオンを求めるも、どこも見解は同じ…
なかには
「治りませんよ!」
「絶対に一年もったりしません!」
とまで言われたことも…
よほど悔しかったのでしょう…
そこで飼い主さんは決断しました。
断脚も、抗がん剤治療も断り、当院の原因療法を選択しようと…
余命三ヶ月と宣告されてから二ヶ月経過してからの治療開始
8月に骨肉腫と診断され、当院にお越しになったのが10月ですから、二ヶ月分進行しているわけです…。
この時私は、
「結果はどうなるかはわからないけれど、これ以上悪化しないように、この状態で止めるための努力をしよう」
と、治療方針を決めました。
飼い主が暗い気持ちでは、犬が心配する
骨肉腫は悪性度が高く、進行が速く、転移する事が多いので、断脚しても余命3~4ヶ月、抗がん剤を使っても余命10~12ヶ月程度といわれております。
断脚して抗がん剤治療をした場合の一年生存率は約50%、二年生存率は約20%といわれております。
一応世の中ではそういわれておりますが、愛犬のそばにいる飼い主さんが暗い気持ちになったり、希望を失った状態での治療は好ましくありません。
「かあちゃん、おれ、生きていたらかあちゃんに迷惑かけそうだから、いなくなった方がかあちゃんのためになるんじゃないかな?」
と生き続けないことを選択するかも知れません。
そんなわけで、
「一般的にはそういわれておりますが、それは症状を消して原因を放置した場合の話です。原因を取り除いたら、結果が変わるかもしれませんよね。もちろん、やってみないとわかりませんが、現実は受け入れて、そうなったときまで一旦忘れ、希望をもって取り組んでみるという選択をされるならお手伝いします。」
という「前人未踏のことに取り組むので、何もハッキリと言えることはないし、何の保証も無いけれど、やるしかない」とお伝えした上で、原因療法をスタートしました。
そして、10月から原因療法を始め、
●どんな原因が
●どこに
●どれくらいあるか?
●何を使って排除できるか?
を探って取り組んだら…
足の腫れが引いて、普通の骨に!
なんと!
1月の段階で、足の腫れが引いてきて、外周30センチあったのが、20センチになりました!
そして、そのときのレントゲン検査の結果がこちら!
溶けた骨が元に戻りつつあったのです!
また、掃除機を攻撃するようになった
足が元に戻りつつあるところで、この犬は元気になってきました!
そして、
●この子は掃除機を攻撃する子だった→具合悪い時は横で掃除機をかけても
何も反応しなかった→今はまた攻撃するようになった
●食欲がなくなったのが、今は出すのが遅いと催促するし、
食洗機かと思うぐらいにサラがピカピカになるまで舐める
●歩かなくなったのがむっちゃ歩くようになった!
●ウンチが出なかったのが緩い便が出る様になった!
と、飼い主さんからは嬉しい報告も!
原因療法だから骨肉腫が完治したんだ!
そんなことを申し上げるつもりは全くございませんし、
単なる偶然の出来事なのですが、
私はこのケースで大きな気付きを得ました。
身体には素晴らしい調整能力があり、いつも元に戻ろうとしている
以前、ザリガニを飼っていたとき、ザリガニ同士が喧嘩をして足とハサミをもぎ取られた子がいました。
このままだと殺されると思い、その子だけ別の水槽を用意して飼っていたところ…約一年後に足とハサミがまた生えてきたのでした!
この再生能力に「スゲェ~」と驚いたものです。
そして、今回の骨肉腫のケースで、その時と同じ様な気持ちになりました。
つまり、
●身体には素晴らしい調整能力があり
●いつも元の状態に戻ろうとしていて
●環境条件が整えば元に戻る可能性がある!
ということです。
もちろん、全てのケースでこれが当てはまるとは限りませんし、今回はたまたま偶然上手くいっただけかもしれません。
しかし、今までと同じ解釈、考え方、行動をしているから「その通り」になるだけで、今回のように視点を変えたら、また同じ様な結果になるかも知れません(ならないかもしれませんが…)。
ダメってわかっているけど、須崎はダメって言わないで…
前例がないからやらない
というスタンスは、それはそれで尊重します。
しかし、当院にお越しになる飼い主さんは
「もうダメな確率が高いことはわかっている。でも、このまま何もしないで指をくわえてみていることはできないんです。ですから、前例がないことでもいいから、この子を使って動物実験していただいて構わないので、あの手この手お願いします。」
という方が多いのです。
ですから、当院の診療は、ほとんどが「初めてのケースで、どうなるかわかりませんが、全力は尽くします!」という内容です。
「確実性の無い、バクチのような診療」
ですから、絶対に受け入れられない飼い主さんが大半だと思います。
諦めきれない飼い主さんのための動物病院
しかし、私もそうですが、
「他人がダメだと諦めていることを、なぜ私も諦めなければならない?」
という諦めの悪い飼い主さんもある一定数いらっしゃるので、そういう方とは話が合うから、一緒に「悪あがき」をすると、ときどきこんな結果がでることがあります。
くどい様ですが、
私は西洋医学を完全否定する立場ではありません。
しかし、世の中には万能な方法もありません。
生き物の自然治癒力・調整能力はスゴイ!
今回はたまたま原因療法で骨肉腫が骨肉腫で無くなったわけですが、私が申し上げたいのは
「原因療法スゲェ~」
ではなく!
「生き物ってスゴイ!」
ということなのです。
正直、私は元に戻るとは思っておりませんでした。
でも、今回このような経験をさせていただき、「生き物はロボットではなく、人知の及ばないような調整能力で、自己治癒する可能性を常に秘めている。だから、余命宣告してレッテルを貼って簡単に諦めたりするのもひとつ!諦め悪い、悪あがきだといわれても一縷の望みに賭けて取り組むのもひとつ!」だなと感じました。
くどい様ですが、原因療法がスゴイのではなく、体が本来もつ自己治癒力・調整能力がスゴイと言いたいのだということを誤解されませんよう、よろしくお願い致します。
もちろん、まだ改善の途中ですが、「一年生き長らえることは絶対に無い!」と言われた2018年8月を無事に越すことが出来ました!
この調子でぜひ、もっと良い状態になって欲しいです♪
無理に頑張らずに諦めてもいい!
諦め悪く取り組んでもいい!
どちらでもいいのですが、悔いの無い選択をしたいものです。
いずれにせよ、
須崎動物病院は
===
諦めの悪い、悪あがきをする飼い主さん
===
も応援しております!