愛犬が自宅以外でしかも診療中にこんなにリラックスするなんて珍しい!

診療

須崎動物病院では、診療中に眠る子が少なくありません。

自宅以外で、こんなにリラックスするなんて珍しい!

先日動物病院に連れて来られたミニチュアシュナウザーは、診療中に床に伏せてぐっすりと眠っていました。

その様子を見た飼い主さんは驚いて、「自分の家以外で、こんなにリラックスするなんて珍しいんです!」とおっしゃっていました。

ずっと何か症状が出ていた犬

この子はこれまで子宮蓄膿症、乳腺腫瘍などで4回も手術をしてきた子で、その後も手足やおまたを舐め、空腹で吐き、最初の術前検査で僧帽弁閉鎖不全になっていることもわかり、以来ずっと心臓の薬をのんでいました。

そして2020年になりまたお腹にデキモノができて…と飼い主さんの心が安まらない状態が続いていました。

こんな時私は

「症状の対処はしてきたけれど、根本原因が取り除けていなかったから、ずっと身体は正常に原因と闘って、その結果として症状が出ていたんだろうな。症状が出続けていたということは、ずっと『根本原因が残っているよ!』と教えてくれていたんだろうな…」

と解釈します。

そして、1月から須崎動物病院の原因療法を取り入れ、前回から「これまでの各種症状が出るに至った根本原因」を探って減らして、今までため続けた「借金」を減らし、「元金が減らせる状態」にするべく、三ヶ月間がんばってくださった上での再診でした。

怯える診療よりリラックスする診療

当院にお越しになる飼い主さんの特徴として、「怯える診療より、リラックスする診療を受けさせたいので須崎動物病院を受診することにしました。」と言う飼い主さんがとても多いです。

では、怯える診療は本当にいけないものなのでしょうか?

私は注射の痛いのが嫌い!

確かに私たち人間の医療においても、苦痛や不安を強く感じる診療はできるだけ受けたくないというのが本音です。

私も、お恥ずかしい話ですが、注射の痛いのは嫌いです(51歳)。

できれば、注射の痛みを感じないように、麻酔をしてから注射をしてほしいと思う位です(笑)。

でも、医療従事者として、必要な処置はしなければならない現実も理解しています。

ただ、私が「痛いの嫌い・怖い」とい言うタイプなので、動物診療においても、できるだけ苦痛をなくして、怯えず、リラックスする診療を心がけております。

症状は何かを教えてくれるサイン

須崎動物病院では症状を安易に消して「それでよし」と安心する診療ではなく、「症状は正常化するために不快だが必要かつ正常な反応」と解釈し、症状が出る根本原因がどこに何がどれぐらいあるのかを探り、その根本原因を減らし(ゼロにする必要はない)、自力で処理出来る様になれば、元の状態に戻れるという原因療法的スタンスで診療をやっております。

怯える理由と眠る理由

原因が多いと、身体が不快感を伴います。
不快感が伴うと身体は緊張します。
緊張が度を超えると怯えたりするものです。

しかし、原因が減ると不快感が減ります。
不快感が減ると身体の緊張も減ります。
緊張が減るとリラックスし、リラックスが高まると安心して眠ってくれます。

このことを通じて身体の不快感がだいぶ減っているということは、とりあえず現時点で見逃している重要な事はほぼ無いと判断・理解しております。

もちろん皆が眠るわけではありません。

動物がリラックスしない理由

もともと警戒心が強い子は、常に「こいつ何するんだ?」というような警戒心を忘れません。

不快感が強い子は、原因を減らしてもまだ不快感が残っている状態ですから当然眠ってくれるような状態になるわけでもありません。

今まで嫌なことをずっとされてきた子は知らない人に触れられるのですら嫌いですし、「お前、またなにかするのか!?」と言うように睨んでくることもあります。

また意にそぐわないことをされるのが嫌いな子もいます。飼い主さんの中には「歳を年取ったから頑固になったのか、若い時はそんなことは感じなかったんだけれど、歳を年取ってから気に入らないことがあると怒るようになった。」と言う方もいらっしゃいます。

また「その処置は違うだろ!」と本質的なことを教えてくれる(ような気がする)子もいます。

でも、そんな子たちも

「こいつは俺の敵ではない」
「こいつは痛いことしない」
「こいつは害はなさそうだ」
「こいつはわかっていそうだ」

と感じてくれると、2回目以降には身を委ね、リラックスしてくれることもあります(主観)。

そんな時、動物に受け入れてもらえたような気がして嬉しく感じるものです(自己満)。

原因が減ったら、症状も落ち着いてきた!

先にも述べましたが、私は苦痛を伴う治療が悪いとは思っておりません。必要な処置はすべきだと思っています。

しかし、個人的にはリラックスできる診療を心がけています。

この子も原因を減らしたら、

●手足、おまたを舐めるのが減った
●空腹で吐かなくなった
●以前より歩きたがるようになった
●心臓の薬は1月からのんでいないがなんともない!

という状況になってきました。

まだまだ道半ばですが、これからもさらなる改善を目指して頑張っていただきたいと思います。

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